あのサービスを使え!「引越し難民」にならないための対策4か条を業界のプロに緊急取材しました(2019年春版)。

はじめに

昨年(2018年)2月に、「引越し難民」という言葉が急浮上し、「難民にならないための対策」を探るべく、業界のプロに取材をしてこの記事を書きました。

あのサービスを使え!「引越し難民」にならないための対策を業界のプロに緊急取材しました。

実はこの記事、1年たった今でも検索上位(2019年2月28日で5~7位)に表示されています。引越し繁忙期(3月下旬から4月)を控え、パソコンやスマホを片手に必死に情報収集している「引越し難民予備軍」の方々がいらっしゃることと思います。

昨年の記事でも「引越し難民にならないための具体的な対策」をいくつか挙げており、お役に立てる情報は含まれておりますが、やはり2019年の最新情報が欲しいところ。

そこで改めて2019年春の引越し繁忙期に向けた現状と対策について、引っ越し業界のプロである株式会社リベロの横川尚佳取締役にインタビューをさせていただきました。

株式会社リベロさんは、法人向け引越しサポート業務ノウハウを活かし、個人向けにも引越し業者選定をはじめとした一括支援サービス『引越しラクっとNAVI』を展開しており、日本中の引越し会社はもちろん、引越しをするユーザーの情報も知り尽くしている方です。引越し関係のニュース記事で、識者としてコメントされているのを数多く拝見しています。
また、日頃から引越に関するあらゆる情報を発信する横川さんのブログ「引越しラクっとブログ」も必見です!

今年(2019年)の引越し繁忙期の状況~単身者の引越しは要注意~

――横川さん、1年ぶりにまたお話を聞かせていただきます。
「引越し繁忙期」についてお伺いしたいのですが、昨年(2018年)状況はどうですか?と質問をしたときは「過去に経験したことがないくらいヤバい」とおっしゃっていました。
今年(2019年)の引越し繁忙期はどんな状況でしょうか。


今年も昨年と同じように異常事態であることは間違いないですね。特に「単身者の引越し」で苦労されている方々が多いように感じます。

――「単身者の引越し」ですか?

はい。引越し大手のヤマト(ヤマトホールディングスの子会社であるヤマトホームコンビニエンス、以下YHCと表記)が、受注停止をしているのはご存知ですよね。

――はい。昨年YHCが引越し料金を過大請求していたことがわかり、国交省から事業改善命令が出て受注停止になっているお話ですよね。
最近のニュースで「引越し業務の再開は4月以降になる」と書かれていたと思います。

過大請求で改善報告=引っ越し再開、4月以降-ヤマト子会社

そうです。YHCは単身者向けの引っ越しサービスプランが充実していて、利用者もすごく多かったんです。そのサービスが使えなくなって、困っている単身者が増えています。
また、社員の転勤による引越業務を法人としてYHCに任せていたケースも多かったのですが、今年は使えないため慌てているケースもあります。弊社も法人向けの引越しサポートサービス(転勤ラクッとNAVI)をしていますが、これまで声をかけていただけなかった企業様からの問い合わせが増えています。

――となると、他社のサービスを使うことになりますね。

はい。しかし、他社のサービスを使う時にも問題があります。実はYHCの単身者向けの引越しサービスは業界の中では安い方です。他社だと繁忙期ということもあって見積もりは高くなりがちで、YHC水準で予算を考えていたところに高い見積もりを提示されて困っている方々が増えているようです。

 

異常事態の原因は、、、

――今年の引越し繁忙期は昨年に引き続いて異常事態ということですが、その原因はどこにあるとお考えですか。

YHCの受注停止は非常に大きいですね。YHCは引越し業界で約10%のシェアを持つと言われています。その10%分の受け皿がなくなったわけですから、影響は大きいですよね。

――「レオパレス21が施工不良問題に伴って入居者約7700人超へ引越しの要請をしたこと」も引越し難民増加の原因だ、というと報道もあります。

私たちが見積依頼を受けるタイミングでは「その人がレオパレスの住民」かどうかはわからないので、何とも言えません。ただ、レオパレスの入居者に限らず不安を感じた方が引越しを考えるケースは多いようで、単身者の見積依頼の件数は増えています。

――なるほど。他に異常事態の原因は何が考えられますか。

これは「そもそも」の話になりますが、働き方改革が急速に進む中で、引越し業界も以前はやっていた残業ができなくなり、1日当たりの引越し件数が減っています。またトラック運転や引越し業務を担う人材は慢性的に不足しています。この働き方改革や人手不足は昨年や今年になって急に始まったことではなく、ここ数年ずっと起こってきたことです。引越し業界の働く環境を整え、人材を確保するためには、無理のない働き方や環境をつくる必要があり、おのずと人件費も上がっていきます。

――確かに。私たちが各自で働く業界で直面している「働き方改革」は引越し業界にも影響を与えているわけですよね。

そうなんです。利用者から見れば、見積もりが高いと「さぞ、儲けているんだろうな」と思いがちです。しかし、一方で人件費も高騰傾向にあるわけですから、引越し会社も苦労している面があることも忘れてはいけないと思います。

 

引越し難民にならないための対策3か条

――こうした厳しい状況ではありますが、今週に引越しを予定している人たちは少なくありません。「引越し難民」にならないためにできる工夫を教えていただけますか。

第1条 引越しサービスを使わない

一番いいのは、繁忙期に「引越しサービス」を使わないことです。

――あれ?もしかして、去年もお話しされていた、あのサービスですか。

そうです。
例えば、ヤマトの家財宅配便。これは引っ越しサービスではないですが、家具などを梱包・配送・設置してくれます。

――YHCのサービスですが、受注停止の影響が心配です。

YHCに確認したところ、受注停止の対象外なので利用可能とのことです。
他社でも「宅配サービス」で家具を送ることはできます。「引越し難民」にならないために大事なことは、繁忙期に受注抑制が行われている「引越しサービス」を使わないことです。「引越しサービス」に回ってしまうと、受注抑制の網に引っ掛かってしまいます。このような「引越し以外」のサービスで、必要最低限の家具類と春物だけなど最低限の衣服を送ってしまい、転居先での最初の1カ月を乗り切る。そして、ある程度落ち着いて繁忙期を過ぎたあたりで、残りのモノを「引越しサービス」や通常の「宅配サービス」を使って送り届けてもらうのです。

――「引越しサービス」を使わなくても、引越しってできるんですね!

そうです。
進学や就職で実家を離れる人の場合は、生活に必要な最低限のモノ以外は実家に預けておく。実家がどうしても無理なら、倉庫サービスの活用も考えましょう。

――倉庫ですか? ハードルが高いイメージがあります。

最近ではクラウドを使い、手続きも簡単で低価格で使えるサービスが出てきています。
例えばサマリーポケットや寺田倉庫のminikuraなど。まだまだたくさんあると思います。大事なことは繁忙期にはできる限り「引越しサービスを使わずに済む方法」を考えることです。無理に引越しサービスを使うことで掛かる高い費用を考えれば、こうしたやり方は有効だと思います。

第2条 見積依頼は余裕をもって

――それでも「引越しサービス」を使わなければならない方々は多いと思います。その場合はどうしたらよいでしょうか。

見積依頼をする場合に、日時まで細かく指定することは避けましょう。
例えば「31日の午前中で見積もりをお願いしたい」と言われた場合、その時間が空いていなければ各社は見積もり自体を出せません。
少なくとも時間指定は避ける、できれば前後2日間など余裕を持って見積依頼をしましょう。大事なことは受け取れる見積もりを増やし、複数社で比較検討できるようにすることです。

――その他に注意点はありますか。

北海道や沖縄、離島など船便輸送となる地域の場合は、とにかく見積依頼を早くしてください。トラック輸送などと違い、船は載せられる枠が決まっているので「便がないので無理です」と請けてもらえないケースが出てきます。既に厳しい状況になっているかもしれませんが、注意が必要です。

 

第3条 私たちの働き方改革も

――非常にためになる実践的な情報をありがとうございます。
お聞きして、改めて2019年の「引越し異常事態」の状況と、その対応のヒントが見えてきたように思います。

お役に立てて嬉しいです。
しかし、本音を言えば3月下旬から4月上旬の繁忙期に引越しをしないのが一番良いと思います。
例えばホテルでも航空券でも繁忙期は値段が高くなりますよね。その値段を見て、皆さんは繁忙期を避けることがあると思います。
引越しも実は同じなんです。繁忙期の引越しは値段が高くなりますし、全ての会社で起こるわけではありませんが、業務過多で作業が乱雑になってしまう恐れもあります。できれば繁忙期の引越し自体を避けていただきたいです。

――確かにそうですね。例えば引越し業界を所管する国土交通省が「今春の人事異動では繁忙期を避け、4月の2週目以降の転居を検討するよう職員に周知する」というニュースもありました。


引越し難民が急増しつつある背景には、特定の会社の受注停止などもあります。しかし、その根底には「引越し業界における働き方改革の波」があります。引越しをする、引越しサービスを利用する私たち自身も「働き方改革」を迫られているように思います。

国交省のように「移動に伴う転居は繁忙期を避ける」のもよいですし、そもそも毎年春に一斉に就職や転勤をするのではなく時期をずらすことをもっと真剣に考えてもよいかもしれません。

本日はありがとうございました。

まとめ

改めて今春に「引越し難民」にならないための対策3か条を整理します。

第1条 繁忙期は引越しサービスを使わず、通常の宅配サービスなどの活用を考える
各社は引越しサービスの受注を絞っているので、「家財宅配便」などを活用して、最低限の荷物を運ぶ。あるいは「倉庫サービス」などで一時的に荷物を預けてしまうのもよい。引越しする時に「引越しサービスは必須」という常識を見直してみよう。

第2条 見積依頼は余裕を持って
3月下旬から4月上旬の繁忙期において日時指定の見積依頼は困難。できれば複数の候補日を挙げて、複数の会社から見積もりをもらえる機会を増やすこと。特に北海道・沖縄・離島や北陸地域は船便輸送の場合は便数に限りがあるので見積依頼はとにかく早めに。

第3条 私たちの働き方改革も
引越し難民が発生する異常事態のキッカケは引越し業界における「働き方改革」。他人事ではなく、「私たち自身の働き方改革」についても考えてみよう。

 

1年前に取材してこの記事を作成した時に、対策の第3条として「私たち自身の働き方改革」について記しました。「そうはいっても現実性に乏しい」と思っていましたが、引越し業界の監督官庁である国土交通省が自ら「異動の時期を少しずらして働き方を変える」取り組みを始めています。
今春の引越しを目前に控えている方々にとっては第1条や第2条が重要だと思いますが、長い目で見て第3条についても引き続き考えていけたらよいな、と思います。

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