1.今年の引越し業界は異常
2.異常事態の原因は?
3.どれだけ異常なのか?
4.引越し難民にならないための工夫「引越しサービスを使わない?!」
5.引越し難民にならないための工夫「見積依頼は”余裕”を持って」
6.引越し難民にならないための工夫「私たちの働き方改革も」
7.まとめ
1.今年の引越し業界は異常
2月23日にこんなニュースがYahoo!のトップを賑わせました。
・「今年は異常」引越し難民、大量発生? 新生活スタートに思わぬ試練 業者のドライバー不足深刻
この記事の執筆編集中も、あれよあれよと「引越し難民」記事が続出しています。
- 「引っ越し難民」春に続出か 依頼集中、運転手が不足(東京新聞)
- 引っ越し難民 個人客は特に苦労 業者は分散呼びかけ(毎日新聞)
- 引っ越し難民、個人客で増加も アート社長「働き方優先」(日本経済新聞)
- 「引っ越し難民」を生まないズレのメリット(日経ビジネス)
明らかに今春の繁忙期(3月下旬から4月上旬)の引越しは、希望時期に転居ができない「引越し難民」が大量発生する恐れのある、例年にない「異常な事態」です。
日頃から「引越しで失敗したくなければこれを読め!」と情報発信を続けている「得する引越し.com」としても、この事態を見過ごせません。
そこで今回は緊急取材(2月26日実施)の内容をお伝えします。
お話を聞かせていただいたのは、株式会社リベロの横川尚佳取締役です。
法人向け引越しサポート業務ノウハウを活かし、個人向けにも引越し業者選定をはじめとした一括支援サービス『引越しラクっとNAVI』を展開しており、日本中の引越し会社はもちろん、引越しをするユーザーの情報も知り尽くしている方です。
日頃から引越に関するあらゆる情報を発信する横川さんのブログ「引越しラクっとブログ」も必見です。
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――横川さん、本日はお時間を頂きましてありがとうございます。まずは今年の繁忙期に向けた引越しの依頼状況について教えていただけますか。

2.異常事態の原因は?
――今年の春の引越し繁忙期は「異常事態」で引越し難民が続出するのではないか、という情報が聞こえてきています。横川さんはこの異常事態の原因はどこにあるとお考えですか。

今年はさらに、ヤマト運輸など物流系の大手各社において、amazonの配送など引越し以外の物流搬送業務が増え、引越し業務に人を回せない状況が発生しているようです。法人取引で繁忙期を中心に引越しの業務量を6割程度などに一律で「受注抑制」しているとも聞きます。
――それは大変です。去年の場合、例えば大手などが繁忙期に受注抑制した分を、他社が引き受けていたように思います。たしか引越しのサカイが17年4月に前年比114.9%と急激に件数を伸ばしたのは、アートが減らした分を引き受けたからではないか、と以前ブログで書かれてましたよね。今年はどうでしょうか。

3.どれだけ異常なのか?
――今年の状況はどれくらい異常だとお考えですか。
引越し業界に10年以上関わっていますが、過去に経験したことがないくらいヤバイです。
もともと引越し単価は過去20年間ずっと減少傾向にあったのが、ここ2,3年で上がり始めてきました。
それでも「引越し会社を叩いて、叩いて、値引して、安く抑える」というのが通用していたと思うのですが、引越し会社も淘汰が進み、残るのは大手ばかりになってきました。
中小と違い、大手の場合は値引を依頼しても「うちでは請けられません」と断られるケースが増えています。各社のIRを見ても引越し単価は上昇傾向です。
例えば転勤などで3年前に引越しを経験した人もいるでしょう。その時の感覚で進めようとすると「こんなに高いの?」と驚くと思います。
4.引越し難民にならないための工夫「引越しサービスを使わない?!」
――お話をお聞きして、繁忙期の受注が抑制され、値引も難しく値段も高騰する状況が見えてきました。それでも今春に引越しを予定している人たちは多いと思います。
引越し難民にならないために今からできる工夫を教えていただけますか。

――え? それだと引越しができないのでは?

例えば、ヤマトの家財宅急便。これは引越しサービスではないですが、家具などを梱包・配送・設置してくれます。

――「引越しサービス」を使わなくても、引越しってできるんですね!

進学や就職で実家を離れる人の場合は、生活に必要な最低限のモノ以外は実家に預けておく。あるいは実家でなくても知人・友人に一時的に預けておくとよいかもしれません。大事なことは繁忙期にはできる限り引越しサービスを使わずに済む方法を考えることです。無理に引越しサービスを使うことで掛かる高い費用を考えれば、こうしたやり方は有効だと思います。
――この「得する引越し.com」でも記していますが、引越しタイミングで断捨離したり、家具や家電を新調することもあります。引越しで運ぶ物量を減らせば、この考え方は現実的かもしれないですね。

5.引越し難民にならないための工夫「見積依頼は”余裕”を持って」
――それでも「引越しサービス」を使わなければならない方々は多いと思います。その場合はどうしたらよいでしょうか。

例えば「31日の午前中で見積をお願いしたい」と言われた場合、その時間が空いていなければ各社は見積自体を出せません。
少なくとも時間指定は避ける、できれば前後2日間など余裕を持って見積依頼をしましょう。大事なことは受領できる見積を増やし、各社を比較検討できるようにすることです。
――その他に注意点はありますか。

――地域性が出ますね。

こうやって挙げていくと、どこも要注意になってしまいますが。
6. 引越し難民にならないための工夫「私たちの働き方改革も」
――非常にためになる実践的な情報をありがとうございます。
お聞きしていて今年の「引越し異常事態」の状況と、その対応のヒントが少し見えてきたように思います。

しかし、本音を言えば3月下旬から4月上旬の繁忙期に引越しをしないのが一番良いと思います。
例えばホテルでも航空券でも繁忙期は値段が高くなりますよね。その値段を見て、皆さんは繁忙期を避けることがあると思います。
引越しも実は同じなんです。繁忙期の引越しは値段が高くなりますし、全ての会社で起こるわけではありませんが、業務過多で作業が乱雑になってしまう恐れもあります。できれば繁忙期の引越し自体を避けていただきたいです。
――確かにそうですね。今回の異常事態のキッカケが引越し業界の「働き方改革」でした。すぐには難しいですが、毎年春に一斉に就職や転勤をするのではなく時期をずらすことも考えてもよいかもしれないです。実は利用する私たち自身の「働き方改革」が必要なのかもしれないですね。
本日はありがとうございました。
7.まとめ
改めて今春に「引越し難民」にならないためのポイントを整理します。
- 繁忙期は引越しサービスを使わず、通常の宅配サービスの活用を考える
各社は引越しサービスの受注を絞っているので、「家財宅配便」などを活用して、最低限の荷物を運ぶ。宅配サービスの活用で最低限の引越しは可能だ。 - 見積依頼は余裕を持って
3月下旬から4月上旬の繁忙期において日時指定の見積依頼は困難。できれば複数の候補日を挙げて、複数の会社から見積をもらえる機会を増やすこと。 - 北海道・沖縄・離島や北陸地域は要注意
船便輸送の場合は便数に限りがあるので見積依頼はとにかく早めに。
大雪で物流に影響が出ている北陸地域なども注意が必要。 - 私たちの働き方改革も
今回の異常事態のキッカケは「働き方改革」。
他人事ではなく、私たちの働き方改革についても考えてみよう。
今回は緊急取材の内容をお伝えしました。今春引越しを予定されている方の準備状況はいかがでしょうか。ここに記した情報を活かして、「引越し難民」ではなく「引越し勝ち組」になれるよう応援しています。
【追記】
3月1日(木)の読売新聞で「引越しラクっとNAVI」を運営するリベロさんが取り上げられました!詳しくはこちらをご覧ください。