【国交省に電凸してみました】キャンセルするなら3日前まで! 改正が予定される標準引越運送約款を今こそ理解しておこう。

●目次
1.引越し解約金が大幅値上げ???
2.引越しには共通のルールがある
3.標準引越運送約款を理解しよう
①どこの会社も「見積は無料です」と言ってくるけど実は、、、。
②見積と異なる場合の対応。安くなった場合は?
③トラブルが発生した時の補償について
4. まとめ

1.引越し解約金が大幅値上げ???

昨日(2017年12月17日)のニュースで、こんな記事を見つけました。
引っ越し解約金、大幅値上げへ…直前の解約増で

引越しをキャンセルする場合の解約金が大幅に値上げされる、との記事です。
ポイントは
①キャンセルによる解約金の発生は、これまでの「前日」から「2日前」に
②キャンセルで発生する解約金は最大で当日の「運賃の20%以内」から「運賃及び料金の50%以内」に
という変更です。

消費者にしてみると厳しく映る変更点かもしれません。
しかし、例えば「旅行」の場合は、

①キャンセルによる解約金の発生は「20日前」から
②キャンセルで発生する解約金は最大で当日の「旅行代金の50%以内」

だったりするので、意外と引越しは「キャンセル時の料率が低かった」とも言えます。

http://www.mlit.go.jp/common/001211193.pdf

国土交通省では、この課題も含めた標準引越運送約款改正に関する検討を2年以上続けていたそうです。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000025.html

先ほど自動車局貨物課に問合せしたところ、
「これらの改正案を反映した約款が2018年6月1日から適用される予定である」
とのことでした。

つまり、これまでは特に費用は発生しなかった「2日前のキャンセル」は、来年6月からは運賃及び料金の20%以内で解約金が発生することになります。

 

2.引越しには共通のルールがある

さて、皆さんはここまで何気なく記してきた「標準引越運送約款」をご存知でしたか?

引越しにおいては「キャンセル」はもちろん、荷物の一部を紛失したり、壊してしまったり。たとえプロの引越し会社にお願いしても、何らかのトラブルが起こるかもしれません。

いざトラブルが発生した時にどうするか。「元となるルール」として定められているのが「標準引越運送約款」です。

多くの引越し会社は「標準引越運送約款」を適用しています。

国土交通省による 標準引越運送約款のPDFページ(改正前の現段階の約款)

引越し会社と消費者との間のトラブルを未然に防ぐためにつくられたルールで、1990年に旧運輸省(今の国土交通省)から告示され、現在は2003年に改正されたものが活用されており、2018年に改正が予定されています。

引越し会社に見積依頼をすると、見積書の裏に書かれていたりするケースもあります。
多くの引越し会社のホームページ上にも掲載されています。

■引越し大手各社の標準引越運送約款の掲載状況

サカイ引越センター

 

日通

 

アート引越センター

 

ヤマト運輸

 

各社個別のルールや約款がある場合もありますが、基本はこの「標準引越運送約款」となります。

トラブルを未然に防ぐ、あるいはトラブルが発生した時のために、今こそ「標準引越運送約款」を理解しておきましょう。

消費者の立場で考えた時に気になる次の3点に絞って理解してみたいと思います。

①見積無料はセールスポイント?
②見積と異なる場合の対応の仕方は?
③トラブルが発生した時の補償はどうなるか?

 

3.標準引越運送約款を理解しよう

①見積無料はセールスポイント?

引越し会社の比較検討をしようと調べていくと、多くの会社が「お見積は無料です」ってアピールしていますよね。

標準約款の第二章に見積りがあります。詳しく見てみましょう。

 

第三条
4 見積料は請求しません。ただし、発送地又は到達地において下見を行った 場合に限り、下見に要した費用を請求することがあります。この場合には、 見積りを行う前にその金額を申込者に通知し、了解を得ることとします

 

あれ、「見積料は請求しません」とあります。

そうなんです、標準約款では「見積無料」が当然と言えます。もちろん、見積料を請求するケースもあると思いますが、その場合も「事前に通知すること」が記されています。

「お見積は無料」はセールスポイントではなくて、普通なんだと理解すると、引越し各社の見方も少し変わってくるかもしれません。

 

②見積と異なる場合の対応の仕方は?

引越しの際に気になるのはやはり金額です。
運ぶモノを実際に見てもらって見積りをしてもらい、その見積金額に納得して契約する。ところが引越し当日になってよくみたら見積り時と物量や条件が違っていた、というケースもあるかと思います。

約款の第八章に「運賃等」の項目があります。

 

(運賃及び料金)
第十八条 運賃及び料金並びにその適用方法は、当店が別に定める運賃料金表 によります。

 

「当店が別に定める運賃料金表による」と記されていますから、見積もり段階で費用について本当に気になる場合は料金表を確認させてもらってもよいかもしれません。

支払いについては次のようにあります。

 

(運賃等の収受)
第十九条 当店は、荷物を受け取るときに見積書に記載された支払方法により、 荷送人から運賃等を収受します。
2 当店は、次の事項を記載した請求書に基づき運賃等を請求します。
一 運賃等の請求相手方の氏名又は名称、住所及び電話番号
二 発送地及び到達地の地名、地番及び連絡先電話番号
三 運賃等の合計額及びその内訳(運賃等の内容ごとに区分してわかりやすく記載します。)
四 当店の名称、住所、電話番号及び問い合わせ窓口電話番号 五 その他運賃等の収受に関し必要な事項

 

「見積書に記載された支払方法」によって運賃を収受しますが、見積書には「運賃等の合計額及びその内訳」が記されており、内訳は「運賃等の内容ごとに区分してわかりやすく記載します」とあります。

見積書の内訳は、消費者にとってもわかりやすく書かれているはずなので、もし不明点があればトコトン質問をしてもよいと思います。

こうしてお互いが納得して見積り通りの支払をできればよいのですが、こんな場合があります。

 

3 前項各号について、当店は見積書に記載した内容に準拠して記載します。 ただし、見積りを行った後に当該内容に変更が生じた場合は、当該変更に応じて所要の修正を行います。

 

どんなに完成度高く見積りをしても、実際の引越し時とは異なることも多いと思います。その場合は変更に応じた修正が行われることとなります。この「変更」に関して約款では次のように記されています。

 

4 前項ただし書の場合において、変更が生じた結果、実際に要する運賃等の 合計額が見積書に記載した運賃等の合計額と異なることとなった場合の修正 については、次の各号に基づき行います。
一 実際に要する運賃等の合計額が見積書に記載した運賃等(以下「見積運 賃等」という。)の合計額より少ない場合 実際に要する運賃等の合計額 及びその内容に修正します。
二 実際に要する運賃等の合計額が見積運賃等の合計額を超える場合 荷送人の責任による事由により見積運賃等の算出の基礎に変化が生じたときに 限り、実際に要する運賃等の合計額及びその内容に修正します。

 

「二 実際に要する運賃等の合計額が見積運賃等の合計額を超える場合」に追加費用が発生するケースは想像していましたが、「一 実際に要する運賃等の合計額が見積書に記載した運賃等の合計額より少ない場合」も変更する、と記されています。

つまり追加による「増額変更」だけでなく、少ない場合の「減額変更」もあるわけです。
例えば、引っ越し事業者向けの標準引越運送約款Q&Aとして、こんな解説をしているケースもあります。

Q14 見積りでは、作業員4人で見積もったが、引越当日作業員は2人しか行くことができず、作業も夜間までかかり、お客様から引っ越し料金の値引き要請を受けた。A14 見積は4人で料金を設定したにもかかわらず、当日の作業員が2人であるため、2人の作業料が減額となります。さらに、作業が遅れたことに伴い発生した直接的経費(交通費・宿泊費など)について、お客さまからの請求があった場合、お客様に支払わなければなりません。
(大阪府トラック協会の「標準引越運送約款とQ&A」より抜粋)

引越しのトラブルでは「見積と違って追加の費用を支払った」というケースが多く見受けられますが、その逆もあるのですね。いざ減額変更の交渉をするためにも「見積の内訳」をよく読んで理解しておくことが大事になると思います。

 

③トラブルが発生した時の補償はどうなるか?

一番厄介なのは、引越し時に発生した、紛失・破損・汚損などのトラブルです。
約款では第九章 責任として、次のように記しています。

 

(責任と挙証等)
第二十二条 当店は、自己又は使用人その他運送のために使用した者が、荷物 の荷造り、受取、引渡し、保管又は運送に関し注意を怠らなかったことを証明しない限り、荷物その他のものの滅失、き損又は遅延につき損害賠償の責任を負い、速やかに賠償します。

 

つまり、何らかの損害が発生した場合、引越し会社が自ら「注意を怠ることなく適正な引越しの一連の業務をしていた」と証明しない限りは、損害賠償の責任を負って賠償すると記しています。
もちろん、免責事項があります。

 

(免責)
第二十三条 当店は、次の事由による荷物の滅失、き損又は遅延の損害につい ては、損害賠償の責任を負いません。
一 荷物の欠陥、自然の消耗
二 荷物の性質による発火、爆発、むれ、かび、腐敗、変色、さびその他これに類似する事由
三 ストライキ若しくはサボタージュ、社会的騒擾その他の事変又は強盗
四 不可抗力による火災
五 予見できない異常な交通障害
六 地震、津波、洪水、暴風雨、地すべり、山崩れその他の天災
七 法令又は公権力の発動による運送の差止め、開封、没収、差押え又は第 三者への引渡し
八 荷送人又は荷受人等の故意又は過失

 

例えば「六 地震、津波、洪水、暴風雨、地すべり、山崩れその他の天災」のような予見できないような事態は免責の対象となりますね。それと、このような特則もあります。

 

(引受制限荷物等に関する特則)
第二十四条 第四条第二項各号に掲げる荷物については、当店がその旨を知って引き受けた場合に限り、当店は、当該荷物の滅失、き損又は遅延について、 損害賠償の責任を負います。
2 貴重品、壊れやすいもの、変質又は腐敗しやすいもの等運送上の特段の注意を要する荷物(第四条第二項各号に掲げるものを除く。)については、荷 送人が第八条第一項の規定によるその有無の申告をせず、かつ、当店が過失 なくしてその存在を知らなかった場合は、当店は、運送上の特段の注意を払わなかったことにより生じた当該荷物の滅失若しくはき損又は当該荷物により生じた他の荷物の滅失、き損若しくは遅延について、損害賠償の責任を負いません。

 

つまり、「貴重品、壊れやすいもの、変質又は腐敗しやすいもの等運送上の特段の注意を要する荷物」については、「予め引越し会社に伝達していない場合」は免責対象となるということです。確かに引越し会社の立場になれば、「実はあれ、壊れやすいものだったんだよ」と後から言われて損害賠償を求められるのは酷かもしれません。「壊れやすいもの」などについては、引越しを依頼する私達からできる限り伝えたほうが良いと言えます。

さて、引越しで「何かが壊れた、何かを紛失した」という事実をすぐには気付けないケースもあると思います。いつまでに通知する必要があるのか、約款ではこう記しています。

 

(責任の特別消滅事由)
第二十五条 荷物の一部の滅失又はき損についての当店の責任は、荷物を引き渡した日から三月以内に通知を発しない限り消滅します。
2 前項の規定は、当店がその損害を知って荷物を引き渡した場合には、適用 しません。

 

「引越しから3ヶ月以内」
この情報、かなり大事です。引越しで何かが壊れたり、紛失したことに気付いた場合は、引越当日でなくても、できるだけ早く引越し会社に知らせる必要がありますね。

どうしても発生してしまった損害に対してはどのように応えるのでしょうか。約款にはこう記されています。

 

(損害賠償の額)
第二十六条 当店は、荷物の滅失又はき損により直接生じた損害を賠償します。
2 当店は、遅延により生じた損害については、次の各号の規定により賠償します。
一 見積書に記載した受取日時に荷物の受取をしなかったとき 受取遅延に より直接生じた財産上の損害を運賃等の合計額の範囲内で賠償します。
二 見積書に記載した引渡日に荷物の引渡しをしなかったとき 引渡遅延に より直接生じた財産上の損害を運賃等の合計額の範囲内で賠償します。
三 第一号及び第二号が同時に生じたとき 受取遅延及び引渡遅延により直 接生じた財産上の損害を運賃等の合計額の範囲内で賠償します。
3 前項の規定にかかわらず、当店の故意又は重大な過失によって荷物の受取 又は引渡しの遅延が生じたときは、当店はそれにより生じた損害を賠償します。

 

「当店は、荷物の滅失又はき損により直接生じた損害を賠償します」とありますが、各号の規定において「運賃等の合計額の範囲内で賠償します」とあります。つまり、その損害が大きかったとしても、例えば5万円で引越しをお願いしているとしたら、その範囲でしか賠償されないケースがあるということです。

そこで、引越し各社は保険会社と連携して「引越し荷物運送保険」を提供しているケースもあります。

ヤマト運輸の引っ越し荷物運送保険の事例

http://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/agreement/pdf/y_24_jyuuyou_hikkoshi.pdf

引越し会社によって異なりますが、概ね「総額1000万円を限度とした補償」を謳っているようです。ただし、この「上限1000万円」で安心してはいけません。賠償額はあくまで「時価相当額」であり、購入時からの経過時間を基に算出されることに注意する必要があります。賠償額を「時価相当額」とするところはトラブルになりやすいケースだと思います。

トラブル時の補償についてはボリュームが多いですね。標準約款では引越し会社は、何かがあったときに損害賠償をする旨を記していますが、次の内容だけでも頭に入れておきましょう。
・「天災をはじめとした予見できない事態」では免責事項となる
・「実は壊れやすい・貴重品などについて予め知らされていなかった」場合も対象外となるので、予め伝えておく必要がある
・紛失や損害があった場合は、引越しから3ヶ月以内に伝えること
・条件によっては、賠償額が「引越し金額の範囲内」となる場合もあるので、引越しに対応した保険に加入するのも一案
・賠償額は「時価相当額」となるので、注意を要する

4.まとめ

今回は来年6月に改正が予定されている「標準引越運送約款」について読み込んでみました。引越しは新天地での生活を始めるための大事な準備。できることなら気持ち良くスタートを切りたいところですが、どうしてもトラブルが起こりやすい場面でもあります。

トラブルを未然に防ぐ、あるいはトラブルが発生しても慌てないために引越しの基本ルールである「標準引越運送約款」を理解しておくことはとても大事だと思います。

今回読み込んだポイントは以下の通りです。

・ (来年6月から)解約金は2日前から発生するので、キャンセルするなら3日前までに
・ お見積無料は、標準約款に記されている当たり前のこと
・ 見積りは料金表に基づいてされているので出来る限り情報をもらって納得すること。増額だけでなく減額変更もあり得る
・ 紛失・破損・汚損などのために、貴重品や壊れやすいものは大事なものは予め伝えること。壊れたことに気づいたら3ヶ月以内に伝えること。いざ壊れても「時価相当額」でしか賠償されないので要注意。

約款そのものは7千字超とボリュームもあるし、難解な表現も一部使われていますが、今回記したようにポイントを絞って読んでみると決して難しくはないです。一度全体を通してゆっくり読んでみると学べることが多いはずです。

サービスを利用する側としても、基本となるルールを知って、不安を減らして引越しに臨んでみましょう。

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