教えて弁護士先生っ!聞きたくてもなかなか聞けない賃貸にまつわる素朴な疑問、全部聞いてきました!

賃貸トラブル……!!

 

引越しをお考えの皆さんにとっては是非とも避けたい言葉ですよね!とは言え、事前に対策したくても、実際に引っ越して生活を始めてみてからじゃないと分からないトラブルも多いのが現実…

まったく他人事じゃない、むしろ身近すぎるトラブルと言えちゃうかもしれません。

 

ある日突然そんな賃貸トラブルに巻き込まれたら、一体どうしたら良いのでしょうか…!?

そこで!得する引越し.comでは、不安に震える皆さんのために、数々の賃貸トラブルを解決してきた弁護士の滝口大志先生にいろいろとお話をお伺いしてきました!

 

 

<滝口先生プロフィール>

千葉大学法経学部法学科卒業、九州大学法科大学院修了

弁護士登録(第一東京弁護士会)(新第65期)

丸の内仲通り法律事務所

不動産法関連分野(主に、建物明渡請求)を中心に民事紛争案件全般を取り扱う。

著書に「建物明渡請求の事件処理50」(税務経理協会,2016)

 

滝口先生、今日は宜しくお願い致します!それにしても、弁護士の先生ってガッチガチでカッチカチでキッチキチで怖いイメージだったんですけど、先生はかなり癒し系でホッとしております!

 

それは良かったです(にっこり)。

 

 

というわけでいきなり本題ですが、今回はこんなことを教えてもらいたくて来ました!!

 

 

1. 不動産賃貸借契約書を交わす時に注意すべきことは!?

 

先生、契約書って何であんなに難しいのでしょうか?私、一応日本人歴40年なのである程度の文章は読み書きできるはずなんですが、契約書のあの独特の言い回しを目の前にすると、すぐチンプンカンプンになっちゃうのです。「甲は乙に」とか止めてほしい!「俺が君に」じゃダメなの!?みたいな……何とか、こう、うまいこと契約書の読解を避ける手段はありませんか?

 


ありません!全部読みましょう(にこっ)!

 


ひぃっ!そこを何とか、せめてここだけは押さえておけ!みたいなポイントだけでも…

 


全部です(にこにこっ)。

 


ぎゃふん!

 


何かあった時に泣きを見るのは自分ですから(にっこにっこにー)。

 

よ、読んだとしても、上っ面しか分からないというか、頭の中に全然入って来ないというか…

 


頑張ってください、としか言いようが無いのですが、強いて言えば、「重要事項説明書」だけは何としても必ず理解して下さい。

 


先生っ!優しい!!それはどんなものなんでしょうか?

 


重要事項説明書とは、借主が契約をするかどうかを決めるために、どうしても伝えないといけない事項が具体的に書かれた書面です。

 


か、かりぬし…?借主って、つまり借りたいと思っている人のことですかね?

 


そうです。これに対して貸す方は貸主となります。

 

基本的なことを知らずですみません…!ちなみに、その重要事項説明書には、例えばどんなことが書かれているんですか?

 


賃貸借契約を修正するための特約などの契約内容がメインです。わざわざ修正するわけですから、大事なことが書かれています。たとえば、「契約期間の途中で解約するときには3か月前の予告をすること」といった中途解約のルールです。他にも、「敷金につき、賃貸借契約終了時にそのうちの一定金額を返還しない」といったいわゆる敷引特約が書かれたりします。

 

し…しきびき、とくやく……?つまり、絶対に敷金が引かれてしまうということですか?

 


そうです。賃借人、つまり物件を借りた人が物件を汚したり傷つけたりしたことに責任が無かったとしても、賃貸人、つまり物件を貸した大家側が、あらかじめ特約で決めた金額を敷金から自動的に差し引くことができるのです。

 


俄然、ちゃんと重要事項説明書を読み込まなくては、という気持ちが沸いてきました…!他にはどんなことが書かれるのでしょうか?

 


「借りる者がそれを知っていたら借りなかっただろう」というようなことですね。極端な事項ですが、たとえば、「この建物は40年前に建てられたもので現在の耐震基準を満たさない。耐震診断を受けたところ、問題があることが分かった」「かつて室内で殺人事件があった」といったことは、物件を借りる前に知っておきたいですよね。

 


なるほど、それを読み飛ばして後で「そんなの聞いていない!」とは言えない訳なんですね?

 


まったく言えなくなる訳ではありません。ただ、後になって「そんなの聞いていない!」と言っても、「重要事項説明書に書かれてるんだから知ってたでしょ?」という所からスタートすることになります。だから必ず読んでください。

 


重要事項説明書って絶対に作られるんですか?

 


物件を借りるときに不動産屋さんが仲介する場合、宅地建物取引士が登場します。その場合、契約を締結する時に宅建建物取引士が重要事項説明書を作成します。ただ、不動産屋さんの仲介を省いて大家さんと直接契約するときには、重要事項説明書をそもそも作らないことがあるでしょう。そのときは頑張って契約書全部を読んでくださいね(にこっ)!

 


うっ!読まなきゃいけない理由が、40歳にしてやっと腹落ちしました…!

 


契約書や重要事項説明書はそもそも、後から「そんなの聞いていない!」といったやり取りを無くすために作るものですから、重要事項説明書だけではなく、契約書の全部を理解することが自分の身を守ることになるんですよ(にっこり)

 

 

●まとめ●

契約書は、難解でも全部読んで理解しよう

 

2. 入居の時に絶対に確認すべきことは?

 


一口にトラブルと言ってもいろいろあると思うんですが、そもそもどんなトラブルが多いんですか?

 


借りた物件はいつの日か大家さんに返すことになります。物件から退去したら原状回復をするのですが、この原状回復のための費用を敷金からいくら差し引くのかというのが、トラブルになりやすいです。

 


たしかに一番よく聞きます、いわゆる敷金トラブル!

 


原状回復のトラブルを予防するためには、やはり、入居のときに、大家さんや管理会社さんの立ち会いのもとで、一緒に部屋の細部まで確認するのが良いでしょう。

 


写真とか撮っても大丈夫なのでしょうか?失礼じゃないですか?

 


むしろ撮るべきですね。汚れや変色、傷が部屋のどの部分にあったのか、どんな状態だったのか、自分が傷つけた分では無いものを、しっかりきっちりと記録に残した方がお互いにトラブルを防ぐことに繋がりやすいです。

 


なるほど…データもしっかり保存しておかなくてはですね!

 


退去した後に、敷金から原状回復費用をいくら差し引くのかなどで揉めたときに、写真は大きな武器になります。1人で勝手に撮影した写真ではなく、大家さんや管理会社さんと一緒に撮影した、というのが大事なポイントになります。

 


「大家さんに失礼かも…」とその場でグイグイ確認するのはつい遠慮しちゃいそうなものですが、後の自分のためにもしっかり確認します!

 


ちょっとした工夫が後の苦労を減らしてくれますよ!

 

 

●まとめ●
契約前に、大家さんや管理会社さんと一緒に傷や汚れを指差し確認&撮影!

 

 

3. 敷金、礼金って絶対に返ってこないものなの?

 

 


もしかしたら最も身近なトラブルかもしれない「敷金・礼金」問題ですが、敷金や礼金とは法律で決められたものなのでしょうか?

 


まずは礼金ですが、民法に明文はありません。礼金とは文字通り「物件を貸してくれてありがとうございます」というお礼としてあげたお金であることが多く、昔からの慣習みたいなものです。

 


明文はない慣習、ということでいうと、お年玉もそうですもんね…孫に「返してくれ」っていう祖父母は滅多にいなさそうですし、返ってこないでしょうね…。

 


あげたお金は、普通は返って来ないものですよね?

 


礼金を返して欲しくて裁判になった例もあるんですか?

 


ありますね。借主が礼金を返すよう求めたのですが、結局、「賃貸契約成立後は礼金の返還を請求することができないという慣行があるのは公知の事実である」として返還を認めなかった裁判例があります。

 


じゃあ絶対に返ってこないんですか?

 


契約を解除したら礼金は返還するという取り決めが契約書に書いてあれば、礼金は返ってくることもあるでしょう。そうはいっても、そのような取り決めをすることはほとんどありません。

 


返ってこないなら、どうしても支払いたくないのですが!

 


まあ、貸主から「どうしても礼金を支払いたくなかったら別の所で家を借りてください」と言われることになるでしょう。

 


そこを何とか…。

 


「礼金がなくてもすぐに借りてくれるなら空室が埋まるし助かるな」と思っている大家さんも大勢いるので、礼金を無くしてくれるよう交渉してみる価値はあると思います。

 


「決まってるのか…」と、何となく流されて払うんじゃなくて、まずは交渉ですね!

 


昔は家を貸す側の方が、借りる側よりも立場が強かったのでこのような慣習がありましたが、これからは物件がどんどん余る時代でもありますので、消え行く慣習になるのではないかと思いますよ(にっこり)。

 


はやく消えますように!ところで敷金の方はどうなんでしょうか。敷金も消えてなくなりませんか!?

 

 


こちらはなかなか消えないものだと思います。敷金は、民法にも明文がある法律用語なんです。敷金には、実際の裁判での判決が積み重なって、「敷金とは、こういうものだ」というのがはっきりしてきたという歴史があります。消えるどころか、今後の民法改正で敷金の内容が明文化される予定です。

 


うう…じゃあ、支払わなくてはならないものなんですね…?

 


敷金がなければ賃貸借契約を結べないというわけではありません。敷金なしでも契約を結ぶことはできます。とはいえ、敷金なしでも契約してくれる大家さんはそう多くはいないでしょうね。

 


でーすーよーねー…そもそもの質問なんですけど、なんで敷金なんてものがあるんですか?何に敷こうというのですか!?

 


そうですね。敷金には、借りる側が貸す側に担保として差し出すという目的があるのです。

 


担保?

 


大家さんの立場からすると、敷金があれば、借主から賃料の支払いが急に止まったときに、未払い賃料を敷金からとりあえず賄うこともできます。

 


差し引くことができるのは未払い賃料だけですか?

 

 


ほかにもあります。借主が物件から退去した後に、敷金から原状回復費用を差し引くこともできます。原状回復費用を退去した借主に払って貰おうと思っても、退去したあとはどこに行ったか追跡がし辛く、そうなると、自発的に支払ってもらうのは大変なことです。結局、大家さんが立て替えたまま泣き寝入りをすることになってしまいます。だから敷金として、あらかじめ原状回復費用を預かっているともいえます。

 


なるほど!事前に大家さんが安心材料として「あらかじめ預かって敷いておく金」ってことですね!

 


そのあたりはどうなのでしょうか。敷金という名前の由来は諸説ありますが、江戸時代に、花嫁が嫁ぎ先に持ってきた持参金のことを敷金といい、そこから来たらしいですよ(にこっ)。

 


先生、何でも知ってる…!ところで、キレイに使っているのに敷金が全然返ってこない、というのがよくあるトラブルだと思うのですが、そもそも普通はどれくらいの敷金が戻って来るものなのでしょうか?

 


まず、物件が借主の故意や過失ではなく自然に損耗した状態を「通常損耗」といいます。この通常損耗の原状回復費用については、借主には責任がないので敷金から差し引くことができないというのが原則的なルールです。

 


じゃあ、汚したりしないで普通に生活しているだけなら敷金は全額返ってきても良さそうなものですが。

 


とはいえ、原状回復費用がいくらになるかは、物件の使用状況や契約内容から総合的に判断して決まるものです。杓子定規にいくら差し引かれるとは言い切れませんが、敷金から賃料1~1.5ヶ月分くらいが差し引かれるのはよくあることだと思います。

 


そ、そんなに!?

 


もし返還金額に疑問があるようでしたら、大家さんに明細を示すよう求めても良いでしょう。何の修繕にいくらかかったのか、本当に必要な修繕をしていたなら明細を出してもらえるはずです。

 


その明細などを見て、「やっぱり納得できない!もっと返して欲しい!」となったときはどうすれば良いのでしょうか?

 


そんな時にとても重要なのが、先程お話した「大家さんや管理会社さんと一緒に確認しながら撮影した写真」です。写真は先ほどの「通常損耗」といえるのかを判断するための大切な材料になってくれるのです。そんな証拠を持ちつつ、まずは大家さんとの話し合いをすることになります。それが決裂してしまったら、裁判などの法的手続きに入ることになります。

 


ひい!おおごとになってきた……ちなみに、裁判で敷金全額の返還を勝ち取った例はあるのですか?

 


あります。ある裁判例では、居住用としてではなく事務所用として物件を借り、敷金として賃料2か月分相当の25万円を差し入れて、約8年間使用していました。借主が大家さんへ差し入れた敷金25万円全額の返還を請求したところ、裁判所は25万円全額の返還を認めました。

 


勝てるんだったら、どんどん裁判を起こしちゃいたいです!

 


いやいや、実は先ほどの裁判例では、借主が物件を退去してから判決が確定するまでに1年半以上もの時間がかかっています。それに、勝訴判決が出ても、貸主が自主的に敷金を返してこないかもしれません。そのときは強制執行をしなければならず、その分費用もかかりますし…

 


1年半も!長い……!精神的にもかなりハードそうですもんね……

 


しかも、オフィスやお店などの事業用物件と違って、居住用物件の敷金はそれほど高額ではありません。もし敷金全額が返ってきたとして、もし弁護士に依頼したら弁護士報酬の方が敷金よりも高くなることも考えられます。時間から見てもコストから見ても、赤字になってしまうこともあるでしょう。居住用物件での敷金トラブルの場合は、裁判を起こすことはあまりオススメできません。

 


つ、つまり、諦めるのが一番ということでしょうか?

 


そうは思いません。「自分に正当な権利がある!」という信念に従って、採算を度外視して裁判を起こすというのは決しておかしなことではありません。譲れないものを無理に譲らなければいけないなどという道理はありません。判決まで行かなくても、裁判所が間に入ってくれれば途中で和解して解決することだってあるでしょう。とはいっても、大半の事件はそんなに簡単な道ではないので……。

 


プライドの戦いですね…

 


裁判を起こす、起こさない、いずれにしても決めるのはあなたです(にっこり)。

 

●まとめ●
敷金全額を返ってこさせるのは大変!

ただし、明細を請求して細かくチェックしよう!

 

4. トラブった時に弁護士先生に相談する方法

 


先生、しつこく食い下がるようですが、敷金の返還額にどうしても納得行かなくて「訴えてやる!」となった場合は、どうすれば良いものでしょうか?弁護士さんって、お高いんでしょう?

 


ご自身でも裁判、できますよ(にっこり)!

 


えええ!?

 


そういうのを「本人訴訟」といいます。ただ、一般的な統計としては、弁護士が就かない本人訴訟では勝訴するのはかなり難しいのが現実ではあります。

 


本人訴訟って、考えたこともなかったんですけど、具体的にどういうことをするんですか?

 


自分で訴状を書き、証拠を出し、反論されたら反論を返す、裁判がある日に裁判所に行くという感じです。あとは強いハートでそれをやり通すことができれば…

 


賃貸借契約書すらろくに読解できない私にはまず無理です……

 


そういう時は、やはり弁護士にご相談ください(にっこにこ)。

 


弁護士さんへの相談って、でも、やっぱり、お高いんでしょう?

 


いや、費用を抑える方法もあります。たとえば各都道府県にある弁護士会に行けば、30分5000円くらいで法律相談を受けることができます。まずは法律相談を受けて、弁護士に依頼するのか、本人訴訟をするのか決めるのでも良いでしょう。

 


おお!思ったより高くないかも…!マッサージの相場が30分3000円ですもんね!ネットの弁護士相談みたいなものに聞いてみるというのもアリですか?

 


ネットでも良いと思います。ただ、やはり一件一件の事情は全然違いますので、弁護士と対面して詳しい事情を話しながら相談するのが望ましいですね! その弁護士と考え方やフィーリングが合いそうかなども、会って話をすれば何となく分かるのではないでしょうか。

 


30分5000円、フルで活用するために、万全な準備体制でお伺いしたいと思うのですが、5000円以外に絶対に用意していった方が良いものはありますか?

 


弁護士としても、証拠をちゃんと見ないときちんとしたアドバイスもできませんので、・賃貸借契約書など、契約書一式・敷金返還の明細や内訳書など、敷金が何にいくら差し引かれたのか分かるもの

・契約時に撮影した写真や退去時に撮影した写真など、物件の前後の状態が分かるもの

・手紙やメールなど、大家さんや管理会社とのやり取りが分かるもの

これらを事前に用意しておくと良いでしょう。

 

 

●まとめ●
しっかりと準備して、弁護士さんに相談だ!

 

 

 

 


先生、いろいろ噛み砕いて教えて下さってありがとうございます!それにしても、トラブル怖いです…

 


何にしても、人間はみんな大なり小なりトラブルに巻き込まれてしまうことがありますからねえ。

 


せ、せんせい…?

 


トラブルに悩んでいる人は、みんなそれを乗り越えるために一生懸命です。いろいろな事件を見ていると思うんですよ。「死なない程度のトラブルは人生経験だ!」って…

 


先生がおっしゃると、重みが凄い!!

 


トラブルになってしまったら、起きてしまったものは仕方がないのです。なので、トラブルを解決するために悩んで考えて、解決の方法として訴訟を経験することも人生経験だ、くらいの気持ちで処理して行きましょう(にっこにこ)!

 


あああ先生、一生付いていきます…!!

 

 

 

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